深く息を吐く

自省用

ぼくは、とくいなものをがんばりたい

私が小学校三年生の頃の授業で。

作文のお題は「今学期がんばること」みたいなことだったと思う。みんな順番に発表していって、だいたいの人は「苦手な算数をがんばる」「給食を残さないで食べる」「なわとびを○回できるようにする」というようなことを言っていた。

最後に発表したのは、なんとなくジャイアン的存在のTくんだった。

「ぼくは野球がとくいです。苦手なことはあまりやりたくなくて、とくいなものをがんばりたい。野球は負けたくないので一生懸命がんばりたいと思います」

それまでのみんなの流れとは少し違ってたから、何人か「クスッ」としたのを覚えている。T君は「なんだよ」というような顔をしていたような気がする。発表の後先生は、

「いまT君はとってもいいことを言った。得意なことを頑張るっていうのは、すごく大事なことだよ! 得意なことがもっと得意になると自分の長所になるんだ。他の人が頑張ってもなかなか真似できない。ぜひTくんは、野球がもっとうまくなるように頑張ってほしいな! 苦手なものはやりたくないだろうけど少しはがんばってね」

細かい台詞は忘れちゃったけど、だいたいこんな感じだった。Tくんは思いがけず先生にほめられて照れてたようだった。

 

苦手なものよりも、得意なことを頑張っていいんだ。子どもながら目からウロコだった。当時は給食の嫌いなものを昼休みに残ってでも食べなきゃいけなかったから、苦手な物はできるだけないほうがいいんだ、と思っていた。

 

確かに「苦手を克服する」のと同じかそれ以上「得意なことをがんばる」のは大事。仕事するにしても自分の得意・関心があることじゃないと継続することさえ難しい。やらなきゃいけない気持ちだけだとつらい。会社だと、強みがないと競合に勝てない。

 

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「林先生の痛快!生きざま大辞典」を夫が録っていた。先週はスティーブジョブズのことを林修先生が色々紹介していて、その中のひとつに

「何をやっているか」ということだけではなく「何をやらないか」ということにも誇りをもっている

I’m as proud of what we don’t do as I am of what we do.

というのがあった。

「やらない決断は大事」→「シンプルなものは自分がコントロールできると思える」→「本質をきちんと理解して本当に要るものは絶対に削ってはいけない」そして、「よくできる人ほどやらない決断をしてる」と説明していた。そして最後に

やらない決断をするのに一番必要なことは、何か他に「やれるという自信」

例えとして「受験科目で全教科満点とるより、不得意は捨てて得意教科で高得点を狙うほうが合格する。できる生徒はそうしてる子が多い」と説明していた。この例えは分かりやすい。選択と集中ということか。

「やらない」っていう言葉は激しい言葉なので、実際はこうシンプルにはいかないことは多いけど、仕事の上でも生活の上でも「やれる自信」というのは本当に大事。

 

番組ではふれてなかったけど、ジョブズの言葉でこんなのもある。

私は、本当に好きな物事しか続けられないと確信している。何が好きなのかを探しなさい。あなたの仕事にも、恋人にも。

I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers.

 

↓この3巻あたりではかなりひどい男っぷりのステーブ。上のような素敵な台詞はまだでてきてない。

スティーブ・ジョブズ(3) (KCデラックス Kiss)

スティーブ・ジョブズ(3) (KCデラックス Kiss)

 

 

「苦手なものはあまりやりたくないけど、ぼくは、とくいなものをがんばりたい」という言葉をほめた先生。息子にもそう言えるように、時々思い出したいものです。