予告の映像が美しくて観たいなと思ってた。親子3人で観に行った。ジブリっぽくないジブリ。 ジブリっぽい部分はちょこちょこでてくるカニかな。
交通事情で最初の10分見逃してしまった。この時間に大事なエピソードが入ってるかどうかはわからないのが残念…でもきっと嵐のシーンだけじゃないな…。答え合わせはDVD化したらする。
この映画はセリフがない。「ああー」とか「ぅおー」とか魂の叫び声や、動物の声は入ってるけど、言葉は一切なし。会話してるっぽいシーンは少しだけあるけど、身振りのみ。音楽は静かにたくさん流れてる。ミュージカルではない。ポスターにあるキャッチコピー「どこからきたのか どこへいくのか いのちは?」そのまんまの映画。
セリフなしの映画を劇場で観たのはダフトパンクの「インターステラ5555」(2003年)くらい。でもこれはもともとMusicVideo。「earth」みたいなドキュメンタリーはセリフないけどナレーションあるもんな。同じ頃の「ベルヴィル・ランデブー」というフランスのアニメ映画もセリフが少なかったけど、冒頭少しあったように思う。この映画も独特で面白い。
インターステラ5555-The 5tory of the 5ecret 5tar 5ystem- [DVD]
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2003/12/03
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話はシンプルなんだけど、よくわかんない部分がたくさんあって、見る人によっていろんな解釈ができる。ファンタジー、それも男のファンタジー。女にとってのファンタジーではない。
絵は文句なくキレイ。浜辺で生まれたての海亀の赤ちゃんたちが海にむかってくシーンから私はやられた*1。監督がフランス人のせいか、今まで見慣れてる日本のアニメの絵じゃなくって、イラストひとつひとつが動いてるっていう感じ。音楽も静かで映像に溶け込んでる。劇場で観れて良かったと思う。すいてた。
しかし息子には少し冗長だったみたいで、私は見入ってたのにラスト近く「今なんじー?」と聞いてきてやや現実に戻された。80分映画でしかも最初の10分見逃してるのにね。ここから下はネタバレあり感想です。
無人島に一人流された男。たった一人だから「LOST」みたいにコミュニティをつくることもできず、イカダを組んで島を脱出しようとする。でも沖に出るたび海の中の何かにイカダを破壊され、島に戻ることを何度も余儀なくされる。どうやら犯人はでっかい赤い海亀のようで、男はこいつのせいで…と浜辺で海亀をひっくり返し棒で叩き痛めつける*2。しばらく経つと男は海亀を介抱するんだけど、甲羅の腹側にピリピリヒビが入っていき、ちょっと目を離してる隙に甲羅の中のカメがなぜか人間の女性になる(ビックリ!)。
そしてしばらくすると、こうなる。
↑フランスver.のポスター
この(元カメの)女との子どもがかわいいんだが、この子は人間なのかカメなのかがよくわからない。あっという間にたくましい若者に成長する。この男の子の相方はどうするんだろう、いないとかわいそうだな…と思っていると、あることがきっかけで若者は自分で自分の進む道を決める。
息子が巣立ったあと、再び男は元カメの女と二人だけの生活に、ともに白髪となっていく。ある夜、静かに男が息を引き取ると、妻は再びカメに戻り、そして海に戻っていく。
うちの夫の解釈だと、これは遭難した時点で男は死んじゃってて、その男が死に際に見た(もしくは見せられた)夢なんじゃないかと。全部夢!
私は、見逃した冒頭10分の間に海亀と男の間になにかあったとして、その海亀が男に惚れてしまって島に釘付けにしたのかな?と。でもそんなシーンはない可能性の方が高そう。なので海亀はイカダで沖に出る男を海の中から見て「そんなイカダじゃ絶対途中で死んじゃうから島で生きなよ」とイカダを壊したのかなと思った。そこまではいいとしても、ひっくり返されて叩かれて虐待されたのにちょっと介抱されたくらいで、男の妻になって子どもまでつくるっていうのは男に都合がよすぎるよな。だからこれは男のファンタジー。フェミニズムの人からは苦情が来てもおかしくはない。
だから、海亀が男に惚れたんだ、と解釈するのが一番腑におちる。男女逆だけど「おおかみこどもの雨と雪」と同じパターンか。おおかみこどものお父さんは早く死んじゃうけど。
疑問がいろいろでてくるけど、わからないなりに感じつつ観ればいいと思う。津波の描写があるので、被災した方が観るのはちょっと気をつけた方がいい。ただ津波のシーンは震災前からの企画なんだそうで、このシーンはすごく重要。
自然とか命の描写はとてもいいので、仕事で忙しすぎる大人が夜にぼーっとみるのにオススメ。