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深く息を吐く

自省用

ジャンヌ・ダルクとイザボー

映画 book

本屋さんに山岸凉子の「レベレーション─啓示」の1巻が並んでいた。山岸凉子といえば「日出処の天使」。何回も読んだけど誰かに貸して返ってこなくなってしまった。ともあれ山岸凉子が描くジャンヌ・ダルク

レベレーション(啓示)(1) (モーニング KC)

レベレーション(啓示)(1) (モーニング KC)

 

 

そういえば昔リュックベッソンの「ジャンヌ・ダルク」を劇場で観た。もう17年も前なので大きな鐘の映像とミラジョボビッチの「フォロミー!」しか覚えてない…。マンガを読む前に映画を復習しようとDVDを借りる。

 

ジャンヌ・ダルク [DVD]

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ジャンヌ役のミラ・ジョボビッチは当時23〜24。美人なのになんというか狂ってるような演技するなあと思っていたけど、改めてみてまたそう思った。しょっちゅう口が半開きなんだけどそれでもなぜかりりしい。バイオハザードのイメージが強いけど、私はリュックベッソンの映画のミラの方が好きだ。なんでバイオハザードなんか出たんだろうと思ったら、ミラはバイオハザードのゲームが大好きだったんだと知り驚く。ミラはリュック・ベッソンとの離婚後、バイオハザードの監督の人と結婚して、2人も娘がいると今頃知りさらに驚く。

リュック・ベッソンはフランス人なのに、なぜフランスvsイギリスをみんな英語にしたんだろう。役者の問題なのかな。日本人だから英語でも仏語でも字幕読むことになるけど言語が分かれてたらもっと良かったのになと思った。。衣装やお城や兵隊の映像は見ごたえがある。テンポも良い。ネタバレ感想になっちゃうけど、結局(特定の国や人にとことん味方してくれる)神様はいない。ジャンヌに人間以上の存在がついていたのかもしれないがそれはあくまでフランスびいきの霊なんじゃないのか。

中学で歴史を習ったとき、なんで人間を幸せにするための宗教が戦争のきっかけになるんだろうと不思議に思ってたけど、権力者が権力を使うためのいいいわけとして宗教を利用してるんだ、と高校生くらいでなんとなくわかり、それなら「なにものにも神様がいる」という考え方のほうがよほどいいんじゃないかと思った。最初はどうあれ、ジャンヌも国(というかシャルル7世)にいいように使われてしまった。神の使いの乙女だったのに魔女として処刑される悲劇。

 

ジャンヌの雰囲気をなんとなくつかんでからレベレーションを読む。1巻のはじまりはジャンヌ処刑の日から始まるけど、だいたいはまだ何者でもないジャンヌのお話。まだまだ序章。たぶん次巻か3巻くらいから面白くなるんじゃないかと思う。でも映画ではふれられてない家系図やら歴史の背景の説明があるからわかりやすかった。また映画ほどドンレミ村への襲撃の描写がひどくなく、落ち着いて読める。ジャンヌのお姉さんの扱いも映画とマンガでは全然違う。

ジャンヌそのものよりも、 当時のフランス王家のゴタゴタがすごくてこっちのほうに興味がいってしまう。映画では、シャルル7世はなぜか妻の母(ヨランド・ダラゴン)の支配下にあるようで、実のお母さんは登場しない。なんでだ?と思ってたらこのシャルル7世の実の母イザボーがものすごいサークルクラッシャーだった。

 

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 ↑レベレーション p23より

 

この本にもう少し詳しく書いてある。

事がここまでこじれたのは、一人の王妃のせいであるといわれている。フランス史上もっとも悪辣で権力欲が強く、淫乱で陰謀好きだったという王妃イザボー・ドゥ・バヴィエールがその人である

ジャンヌダルクの生涯」藤本ひとみ

 

簡単に書くと

  • イザボーは美人。
  • イザボーの夫(国王)がある日発狂する。
  • 国王の側近B伯爵vs王の弟という権力闘争が激しくなる。
  • 王妃イザボーはこの側近B伯爵と仲良くなり権力を得るが、
  • そのうちB伯爵は病死。すると敵対してた王弟と愛人関係になる。
  • 発狂した夫のそばで王弟と抱き合っていたという話さえある。
  • その頃生まれた息子を「王の子ではなく不義密通の私生児」と公言してしまう。その子がシャルル7世。
  • しかしB伯爵の息子は王弟を暗殺。
  • 王太子シャルル(イザボー)側がB伯爵側に宣戦。
  • しかしイザボーは近衛隊長と不倫してることにされ王弟チームから追放。
  • イザボーの息子シャルルは母を淫乱女だと思い、妻の母ヨランド・ダラゴンの支配下に。
  • イザボーは敵対してたB伯爵の息子ジャンと愛人関係に。
  • イザボーはなんとか息子シャルル側と仲直りしたいと交渉。
  • 交渉中イザボーの愛人ジャンが殺される。
  • 怒ったイザボーはイギリス王に自分の娘を結婚させ、その子供をフランス国王と主張。

簡単に書いたつもりでもややこしい…。要するに愛人が死ぬたびにその敵側に寝返って、最後はフランスを裏切り、イギリスにフランスの王女をくれてやるくらいこじれてしまった。

個人的には山岸凉子先生に、こっちのイザボーのエピソードをぜひ漫画化してもらいたい…。

 

でもこの著者はこんなことも書いている。

フランスには、『この国は、一人の女によって滅び、一人の処女によって救われる』という言い伝えがあるそうで、当時の人々は、この一人の女とは王妃イザボーのことであると信じて疑わなかったようである。 

しかし、私は言いたい。イザボーは、嫁いで来た時わずかに14歳。夫を失った時も17歳にすぎなかった。まだローティーンの一人の少女が、両親の元を離れ、言葉も通じない異国で知らない大人達に囲まれ、好きでもない男を夫として暮らしていかねばならなかったのである。しかもその夫は発狂してしまうわけで、こんな時、誰かを頼りたいと考えるのは、当然ではないだろうか。(中略)

また、自分自身がまだ子供であるというのに、毎年のように子供を産まねばならず、産めばすぐそばから乳母にとりあげられ、子育てを通して自分を成長させることもできない。そういう状況に置かれた17歳の娘が、我が子に愛情をもてず、子供より自分の身の方をかわいく思ったとしても、責めることはできないのではないか。

ジャンヌダルクの生涯」藤本ひとみ

 たしかに12人も産むなんて。え?14で嫁いで17歳まででそんなに産んだわけないよな…、夫が発狂したのが17歳かな…?

1385年7月17日、14歳のときに、アミアンでシャルル6世(当時16歳)と結婚。翌1386年から1407年までに12人の子供をもうけた。イザボー・ド・バヴィエール - Wikipedia

産み終えたのが35くらい。大変だったろうな…。