深く息を吐く

自省用

最近観た戦争映画

戦後70年だったからというわけでもないけど、先月から戦争映画をいくつか見た。少々ネタバレあり。

 戦場のピアニスト

 2002年公開150分。

これはポーランドユダヤ人たちがどんなふうにナチに迫害されていったのかというのがよく分かる。最初はまだユダヤ人地区に引越しせよというくらいの迫害(それはそれでひどいんだけど、まだ人間的)だったのが、どんどん追い詰められていく。主人公のピアニスト・シュピルマンも強制労働所→片道切符の家畜用列車に乗せられそうになるけど、知り合いが逃がしてくれて一人ゲットーから逃げ出す。その後助けてくれる人もいるんだけど本当にひどい生活になってく。でもなんとかなんとか生きのびる。空爆が始まって街は廃墟と化してく。そんな中とうとうドイツ人将校にみつかってしまう…。

話そのものよりもユダヤ人がどういうふうに追い詰められていったのかというシーンが長く重苦しかった。一応ハッピーエンドだけど、それほどハッピーでもないエンド。

ドイツ兵が丸腰のユダヤ人を躊躇せずバンバン殺すシーンが多く、一気には観れなかった。全然違うジャンルだけどエスという映画を思い出した。人は役割によって人格がどうかわるかという実験の映画。実話がもとっていうからこわい。

es[エス] [DVD]

es[エス] [DVD]

 

 

 

 終戦のエンペラー
終戦のエンペラー [Blu-ray]

終戦のエンペラー [Blu-ray]

 

敗戦を受け入れた直後の日本の話。天皇ヒロヒトの話ではあるけど、主軸はマッカーサーの部下フェラーズの苦悩の記録。マッカーサー役はトミー・リー・ジョーンズ。コーヒーのCMのイメージに引っ張られまいと観てたがどうしても引っ張られる。。

マッカーサーはフェラーズに「戦争の責任は誰にあるのか、天皇をどうするべきなのか、10日間でレポートをまとめろ」と指示する。フェラーズは開戦前日本人の恋人がいた。10日間しかないのにその恋人の足跡も探したり日本人と喧嘩したりしながら「真の戦争責任者」を探る。フェラーズに部下はいるけど、少人数。すごいな…。

いろんな人に話を聞くうちに、天皇が国民への玉音放送を録音した後、まだ降参したくない派の若い将校たちはそのテープを燃やしてしまおうと皇居に押し入ったという言質があった。よく知らなかったけど本当にあったことらしい。最近やってたこの映画はそれを扱ったものらしい。もしクーデター成功してたらどうなってたんだろう。 

nihon-ichi.jp

 

日本人には興味深いテーマの映画だけど、ラストエンペラーほどドラマティックでもないし、アメリカ映画にしては地味だよなあ。需要はあったんだろうか?と思ったら、田原総一郎さんが解説していた。

アメリカは、日本以外の国では韓国、ベトナム、アフガン、イラクと全て占領政策に失敗していて、成功したのは日本だけ。そのことを殆どのアメリカ人は知らない。

www.huffingtonpost.jp

  

ブラックブック
ブラックブック [DVD]

ブラックブック [DVD]

 

2006年公開。ドイツ占領下のオランダが舞台。これもナチとユダヤ人の映画だけれど話がちょっと複雑でテンポもよく、戦争ものというよりサスペンスとして面白かった。

主人公は裕福な出のユダヤ人女性ラヘル・シュタインが、ナチに家族を虐殺されたのち、スパイに。美人の上、惜しげもなく裸の演技をしているのでそれだけでも見る価値がある。戦場のピアニストとの共通点は、ドイツ兵がすべて悪者というわけではないということ。みはじめたらグイグイくる濃い映画。もう一回観れば誰が一番悪者なのかちゃんと整理できるかな。。見終わってから、この監督がロボコップやトータルリコールのポール・バーホーベンと知りびっくりしたけどなるほどなーとも思った。ブラックブックというタイトルはなるほどなんだけどちょっとインパクトがない。ブラックノートとかブラックリストとかと混乱してしまう。

 

情熱のシーラ

www9.nhk.or.jp

ナチのスパイものつながりで思い出した。映画じゃないけど今楽しみに観てるドラマ。

シーラはスペイン人で、芯はしっかりしてるんだけどちょっと思いきりが良すぎるところがあっていろんなトラブルに巻き込まれるタイプ。ドイツ人にすごい恨みがあるわけでもないんだけど、スペインを戦争から回避したい気持ちからイギリス組織に雇われてドイツ人将校の奥様たちから情報を探る。それだけだったらまだ良かったんだけど…。 ダウントンアビーが終わった後の枠だったから惰性でみはじめたんだけど、ドロドロ恋愛ものっぽいタイトルのイメージからいい意味で裏切られた。

シーラはしがないお針子だったのに、いつのまにかハイセンスなデザインができるようになったんだというのがちょっと不思議だけど、劇中にでてくる当時のファッションや舞台になったスペイン、モロッコ、ポルトガルの街並や建物が見応えあり。来週が最終回…。

 

 

 

関連エントリ