深く息を吐く

自省用

立ち会い出産になっちゃった想い出

無痛分娩や立ち会い出産の記事がちらほらしていて、自分のお産の想い出を書きたくなった。ほぼ回想だし少し長いのでおヒマな方だけどうぞ。

 出産当時の私は桜沢エリカの「贅沢なお産」を読んでしまったせいか自然出産に対する憧れがあった。促進剤はなしでできたらいいな、時間をかけても会陰切開もなしがいいなとか、吸引とか牽引は避けたいなとか、母乳だけでできればいいなとか。布おむつは大変だからいいやと思ってたけど。

贅沢なお産 (新潮文庫)

贅沢なお産 (新潮文庫)

 

 

 

産む前に「どんなお産をしたいか」を夫婦で話しあって病院に伝えてください、と言われていた。私たち夫婦は立ち会い出産を希望せず、なるべく自然な方法でお願いします、とだけ伝えておいた。

とくに目立った問題もなかったが41週を迎え「ノンストレステストをします、ちょっと促進剤成分もはいってるから、そのままお産になるかもしれない。心の準備をしておいてね」と言われたその夜、0時ごろから陣痛らしきものが始まった。でも初産だから丸々一日はかかるだろうと朝までがまんして車で産院へ。でも車の中で破水して、病院につく前にもう歩けなくなってしまう。朝早いので助産師さんが少なく、運悪く先生は他のお産の途中。分娩室も全部埋まってたようで、普通の病室を急遽分娩用に仕立てる助産師さん。。必然的に、夫は「ご主人こっちにきてください!」「こちらを支えて!!背中です!」と助産要員とされてしまいました。立ち会い希望じゃないなんて言ってられない状況になってしまって、わたしのケモノのような呻き声と暴れる力を30分以上受け止めるハメに…。でもヤダとか恥ずかしいとか言ってる場合じゃないから仕方ない。しかし心強くはあった。

そのうち、陣痛じゃないようなピキッと切れるような痛みがきて、もしかしてこれは、と朦朧とした頭の中で思う。そうしてるうちに「頭が出ましたよー」と助産師さんに赤子をとりあげてもらう…。病院に到着してから30〜40分くらいで産まれちゃった。後産が終わった頃先生がきて、何もいわないままチクチクあそこを縫ってるご様子。「切れちゃったんですか?」と聞くと「まあ大丈夫だよ」と詳しく教えてくれない。何針縫ったのかも教えてくれない。あとで母子手帳みると出血多量のところに○がついていたので相当切れたようだ。分娩時間2時間半と記入されていた。30代初産なのに…。

 

ということで、促進剤を使わないのも、会陰のばしも、立ち会い出産も、全く思うようにはならなかった。夫に立ち会い感想を聞いてみると「あの時はああするしかなかった。色々びっくりしたけど、産まれたてを一番に抱くことができて良かった」と言っていた。へそから向こうはカーテンひいてたから、夫は産まれる下半身の現場をみたわけではないしね。でも可能であれば私は立ち会いじゃなく産みたかった…。出産立ち会いはインパクトのある出来事ではあったけど、父親になる上でどう影響があったかは夫のみぞ知ることだ。よい影響であってほしいことを祈るばかりです。

母乳がいきなりでるわけじゃないから、入院中はときどき糖水を与えた。夜は母子同室も別室も選べたから、本当にしんどかった日は預かってもらった。これがなにがなんでも同室で!だったら悲しくなってたと思う。本当に寝ないんだもん。。。

母乳だけじゃ足らないようで、粉ミルクを使うのははじめ抵抗があった。でもそんなことも言ってられず、粉ミルクもどんどん使うようになる。ミルクなら義父母に預けることもできるからそれもいいね、と話していたら、今度は哺乳瓶拒否しだして、今度は完全母乳に。全然こっちの思うようになんてできない…。絵に描いたように育児はできない。

絵になる子育てなんかない

絵になる子育てなんかない

 

 他にも数え上げればきりがない。こっちの希望どおりにやってくれることなんてほとんどない。その中でなにをどうしていこうというのを夫婦でいちいち話あって決めてるのに、たまに義父母がとんちんかんなことを言ってくると腹立たしいことこの上ない。腹立たしいことがあったのは主に赤子〜幼児時代で最近は感謝のみです。

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出産前に読んだ本の中で「無痛分娩は麻酔をかけるお産だ。赤ちゃんが頑張ってるときに麻酔をかけてどうする!」ていうようなのをちらっと読んだけくらいで、無痛和通分娩に関してはほとんど無知です。自分の中では興味がなかった。陣痛がどんなものか味わってみたかったので。

でも2日もかけて陣痛で苦しんだ壮絶な出産話などを聞くと、無痛だって良いのかなと思う。陣痛の末に帝王切開になってしまった友人もいる。そんな中、少数だけれど無痛を選択して元気に産んでる方たちもいる。いろんな選択肢がある現代は幸せだ。自宅出産もありだし助産院で産む人もいるし水中出産なんてのもあるし!自分としては安全であれば自分の納得できる方法が一番いいと思う。私の産院選びは実家からも義実家からも圧力がなく、自分でじっくり考えていいなと思ったところでお産ができたのは本当に良かった。信頼してたから突発的お産になっても安心はしてたから。自分の頭の中に描いてたお産とは全く違っていたけれども。

 

外野のアドバイスはキリがないほどあって、不安だから全く聞かないわけにもいかないが、あんまり情報をいれすぎると逆に心配になってよくない。

お産の頃の自分に何か言えるとすれば「もっと落ち着いてー!」ということかな。こうじゃなきゃダメ、ああじゃなきゃダメ、って育児本に振り回され気味ではあった。夫にそれを指摘されて、もう少し気楽にやれ!と言われた。もうちょっとあなたがヘルプしてくれたらね!と言いたくなったけど。その後、何回かケガや入院を経験して、細かいことよりは、まずは母子ともに元気でいることが最優先だと思うようになった。「お腹を痛めた子」っていう言葉は出産それ自体というよりも、8カ月くらい自分のお腹に入れてることをいうんじゃないかなと思ってる。