「独裁者と小さな孫」をみた
去年の暮れからちょっと気になっていた映画。子供には見せないほうがいいシーンが時々あるのでPG12なんだけど、個人的にはPG15くらいかなと思った。観てよかった。あとを引く。大人の人にはみてほしいので以下なるべくネタバレなしで書く。
ある独裁政権の国にクーデターがおきる。独裁者の家族は飛行機で逃げるが、大統領とその5歳の孫は退路を失い、逃亡生活を余儀なくされる。なんでこのペアかというと、この孫はおじいちゃんが大好きだから。うちの息子もおじいちゃん大好きなので、ちょっと義父と息子におきかえて観てみようかと思ったけど、観ちゃいらんないのでやめた。
独裁者だけど孫にはやさしいおじいちゃんは、おさるのジョージの黄色い帽子のおじさんを彷彿とさせる。この映画は単純に独裁ダメっていうことじゃなく、独裁政権じゃなくなったあとのことが描かれてて、テーマは重たい。
ひどい独裁っぷりがあまり描かれてなく、いいおじいちゃんぷりが多いのでそんなに悪い人には見えないんだけど、これだけ憎まれてるからにはかなりのひどいことをしたっていう設定なんだろう。この映画観たあとにローマのネロ皇帝のDVDをみてしまって、ネロがホントにこうだったらひどすぎるなあ、この大統領がもしネロみたいな人だったら子どもと一緒ににげてるからって優しい気持ちで観れないかも、とは思った。
しかしこの孫の子役とその仲良しだったマリア役の子がぶっちぎりのかわいさで、いいアクセントになってる。ガンダムのガルマがちっちゃいころはこんな感じなのかななんてちらりと思う。
フランス映画かと思ったら、ジョージア、フランス、イギリス、ドイツの4カ国合作。ジョージアってアメリカの州じゃなくて、最近まで「グルジア」っていう名前だった国のことらしく、そのグルジアはどこかっていうとココ↓
監督はモフセン・マフマルバフというイランの人で、10代の頃イスラム市民軍の運動をしてて逮捕・拘留経験のある人。映画を観終わってからこの監督の経歴を知った。監督のインタビューを読んだら重たいシーンをいれた理由が少しわかる。
我々は人間としてどこに向かって歩いているのか。答えは必要がないのです。答えは我々が探さなければならない。答えを言うと終わってしまいます。いつも自問自答し続けるべきです。なぜなら人は答えを与えられると安心して探さなくなってしまいますから。『独裁者と小さな孫』モフセン・マフマルバフ監督インタビュー 「質問の答えは我々が見つけなければいけない」 | ガジェット通信
※ちなみにネロのDVDは↓の1巻。